ハザード分析表では「ハザードの区分」で説明したように、ハザードを規制ハザード、認識ハザード及び一般ハザードに3大別している。本項ではこのうち規制ハザードと認識ハザードの区別の実際について説明する。
規制ハザードと認識ハザードの区別は、規制ハザードの規定である「日本のリスク管理機関が強制力を伴う規制をしているもの」が適用できる。日本は法治国家なので、強制力を伴う規制には根拠法令が存在するはずである。したがって関係法令を調べることになる。
リスク管理機関は厚生労働省、農林水産省及び内閣府消費者庁なので、この3府省が所管している関連法律が対象になる。ここに3府省が共管に加わっている場合も含まれるが、環境省などが所管している法律で3府省が共管していない場合は、対象外にした。
法律には一般に、政令・省令・告示・通知が付随する。このうち法律・政令・省令・告示に記載されているハザードは規制ハザードと判断した。問題は通知である。通知は法令の論理では強制力を伴わないので、原則としては認識ハザードになる。しかしながら、強制力を伴う例も存在しているように見える。法律・政令・省令・告示の解釈の仕方を通知している例である。これは一律に判断することはできず、個別に判断するしかなかった。
食品安全委員会はリスク評価を担当しているので、たとえ警報を発出しても規制ハザードとは見なさない。都道府県が条例で規制しても日本のリスク管理機関とはいえないので、規制ハザードとはいえない。また、外国政府が規制しているとか、国際機関が調査結果を出している場合も、規制ハザードとはみなさいない。これらのハザードは、典型的な認識ハザードである。
ただし、実際にハザードを法令で規制しているかどうかを判別することが困難な例もある。「ハザードの区分」で説明したいわゆる一般的衛生管理事項に係わるハザードで、これらも規制ハザードとみなした。また、輸入食品監視指導計画と命令検査に含まれる項目(直近3年)もこれらは告示に相当するので、規制ハザードとした。なお、微生物及び異物は事情が微妙なので、別途説明してある。