「食生活の変化の方向」の事後レビュー 食生活の変化の方向について勉強する機会があった。 1990年に(財)食品産業センターが事務局となって、「食品産業未来技術問題検討会」が開催されたことがある。当時農林水産省で食品流通局の技術室長を勤めていた関係で、手伝ったのである。検討会は未来技術を目的にしていたが、その関連で21世紀初頭の食生活も展望している。その展望結果はどうだったであろうか。一番目に挙げられたのは、「健康・安全性意識の高揚」であった。これは的を射た指摘だったといえよう。ただ、健康に関しては食品の個別効果である健康機能が強調されていた。食事をトータルとしてみる食事バランスガイドの視点はなかった。二番目に挙げられた「利便性からレディー・ツー・イートへ」であったが、レディー・ツー・イートとまでは言えないにしても、惣菜・調理済み食品の増加という意味では、確実にこの方向に進んだ。3番目の「食材本来の風味を活かした食品への回帰」であったが、この点に関しては顕著な変化はみられなかった。しかし、鮮度への拘り、昔ながらの加工法への拘りは明確になってきており、指摘としては正しかったといえる。次の「個性化の進展と共食の重視」も、顕著な変化があったとはいえないが、その方向に進んでいるといえる。ただ、個性化を我が儘とみるか、個人の特性に合わせるとみるかで評価も変わってくる。そして最後の5番目は「ライフスタイルに合わせた食生活の進展」であったが、これもその方向に進んでいるといえる。この場合も、あるべき食生活との関連は吟味する必要がある。
こうしてみると、公的機関での勉強会はあまり間違ったことを言っていないという気がする。ただ、公的機関にも係わらず、食品安全委員会の設立、食育基本法の制定にみられるような、食生活・食品に対する国民の関心の高まりまでは予測できていない。 食生活のスタジオ |