定義を更新しました


                              おいしさの定義

 おいしさは、古語の「いし(美し)」に丁寧語の「お」が付いたものである。元々広い意味であったが、現在では食べた時に特化して用いられている。しばしば「美味しさ」と表記される。同義語に旨さがある。

 おいしさの定義を探したが、唯一見つけることができたのはJIS規格であった。そこでは、おいしさとは「食品を摂取したとき好ましい感覚を引き起こす性質」となっている。しかし、この定義はおいしさというより食味であろう。このように、おいしさ と食味はしばしば区別せずに使用されている。おいしさを正確に理解するためにも、きちんと定義することが必要である。提案している定義を示すと

  おいしさ:
    「人が食べ物を摂取した時に起きる好ましい感情であり、食事空間も係わる」

である。要するに、おいしさとは人が感じるものであり、食味は食べ物の性質である。ただ、この定義は正しく表現しているにしても、生産者・販売者にとっては不便である。食べ物のおいしさ、あるいは食味との関連を明確にする必要がある。食べ物のおいしさは、上のおいしさの定義を読み替えて、

  食べ物のおいしさ:
    「ある食事空間において摂取された時、人に好ましいと感じさせる性質」

と表現することができる。食べ物のおいしさは食べ物の性質であるが、当然食べる人によって異なり、食事空間にも影響される。食味は、食べ物のおいしさのから、人を普通の人と仮定し食事空間は普段の食事空間などを想定し、人や食事空間の影響を消去したものである。つまり、食味は、

  食味:
    「摂取された時、好ましいと感じさせる性質」

と表現できる。この定義は上に述べたJISの定義と概ね一致している。食味は便利な言葉であるが、人や食事空間に仮定があることに留意する必要がある。想定する人が変われば、良い食味の内容は当然変わってくる。また、想定する母集団の平均なので、好ましくないという個人がいても、その人が間違っているわけではない。

追記:別視点から「おいしさとは」をまとめてあります。

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