「健康食品」では、公益財団法人日本健康・栄養食品協会(以下協会)が運営している安全性自主点検認証登録制度で安全性を確認している。その体制は「安全性評価の仕組みと現状」で説明したように協会内に学識経験者からなる審査委員会を設置しており、いい加減というわけではない。とはいえ、新規食品成分の事前審査ができているかというと、問題は別である。
「健康食品」の関与成分が新規食品成分であることは当然予想される。運用団体である協会が事前の安全性審査を代行していることが期待されるけれども、CODEXの規定を基準にすると、これはリスク管理とはいえない。
日本におけるリスク管理は、厚生労働省や農林水産省が担っている。そして、リスク評価は食品安全委員会に委ねられる。食品安全基本法では、外郭団体がリスク評価を依頼することを想定していない。
協会に代わって厚生労働省が依頼することも考えられるけれども、自主ガイドラインを建前としているために、実際的ではない。
形式は整わないとして、実質が伴っているだろうか。残念ながら否定的である。安全性自主点検認証登録制のひな形であったガイドラインによれば、「食経験が十分でない場合に安全性試験で補う」
と説明されている。この考え方では、新規食品成分の事前審査とは相容れないのである。公開されている特定保健用食品や機能性表示食品の食経験の記述をみると、食経験を非常に広く捉えている。
一方で、新規食品成分を事前の安全性審査を経ないで販売しても、法令違反にはならないことは「新規食品成分は事前の安全性審査が必要」のページで説明してある。
(2015年6月作成) |