特定保健用食品

新規食品成分の事前審査

 
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本サイトにおいては、新しく販売されることになった食品成分を食品衛生法第7条の条項の名称として使用されている新開発食品成分として捉えずに新規食品成分として捉える。この用語がEUで使用されていて、初めて販売される新規性のある食品成分を指しているのに対し、新開発食品成分はその一部にすぎないからである。詳しくは、「新規食品成分は事前の安全性審査が必要」で説明してある。

  特定保健用食品でも、関与成分(有効成分)として新規食品成分が使用されることがある。このような場合、どう扱うべきかについての告示や通知の類いはない。現在の窓口である消費者庁(担当部署)の判断に委ねられている。その判断基準は明確にされていない。

  消費者庁は申請のあった特定保健用食品の一部について食品安全委員会に安全性評価を依頼しているけれども、この事実から特定保健用食品では新規食品成分の事前審査を実施しているとはいえない。必ず事前審査をしているとはいえないからである。特定保健用食品の根拠法令である健康増進法や食品表示法は、食品安全基本法において「食品安全委員会に意見を聞かなければならない」法律のリストに指定されていない。新規食品成分の事前の安全性審査は、一律になされる必要がある。

  ただし、食品安全委員会による食品健康影響評価を新規食品成分の事前審査とみる要素は整っている。かつては所管していたリスク管理機関の厚生労働省や現在の消費者庁がリスク評価機関である食品安全委員会に申請の一部の食品健康影響評価を依頼している。食品安全委員会は、新開発食品専門調査会で食品健康影響評価をしているのである。この食品健康影響評価の水準は、新規食品成分の事前評価として遜色がないと信じられる。消費者庁がリスク管理機関であることを明確にして、また新規食品成分であることを明確にして食品健康影響評価を依頼すれば条件が整うようにみえる。

  新規食品成分でなくて新開発食品成分としてリスク評価を行うことにすると、注目されてしまい、従来型の安全安心により非常に厳しい安全性試験を求められて、結局は「安全性に問題ない」と回答することが困難になる懸念はある。逆にこれを免罪符にして安全性審査を看過する体制ができたのかもしれない。

  特定保健用食品に新規食品成分が含まれる場合、そのために安全性審査を行うという手続きを踏んで食品健康影響評価を実施するのが望ましい。

 

(2015年6月作成)