特定保健用食品制度は、現在は消費者庁の食品表示行政の中で運用されている。その許可を得ると、特定保健用食品と表示できる。言い換えると、許可を得ていない商品には特定保健用食品の表示はもちろん、健康・保健機能を表示することも大きく制約を受ける。
国の許可を得て健康機能を唱えるのは、この特定保健用食品だけであったが、最近発足した機能性表示食品も健康機能を唱えることができるようになった。こちらは届け出制
であることから取得が容易と見込まれるので、関係者の期待は大きい。
商品に保健機能を表示したい事業者は、食品表示基準の規定に従って、消費庁に申請する。申請を受理した消費庁は消費者委員会に諮問するとともに、内容によっては食品安全委員会に諮問する。問題がないと認められると事業者に伝えられ、事業者は申請内容の保健機能と特定保健用食品であることを表示できる。消費者庁は、公開されている特定保健用食品許可品目一覧に当該商品を追加する。消費者委員会では新開発食品調査部会で主に効果の科学的根拠の妥当性を審議する。調査部会を含め議事録は公開されているけれども、消費者庁と消費者委員会の連絡文書を見つけることはできないので、結論がわかり難い。食品安全委員会での審査は次ページを参照いただくが、審査結果は詳しく公開されている。
特定保健用食品制度は、制度の所管が厚生労働省から消費者庁に移るなど変遷を経ているので、その経緯を整理しておく。
特定保健用食品制度が発足したのは1991年で、栄養改善法施行規則の一部としてであった。ここで、特別用途食品の一つに加えられた。所管は厚生労働省であり、安全性審査は厚生労働省の審議会である現在の薬事・食品衛生審議会で行われていた。
2002年には栄養改善法に代わって健康増進法が制定されたことに伴い、特定保健用食品制度も、健康増進法の制度となった。2003年に食品安全基本法が制定され食品安全委員会が設置されると、安全性審査は食品安全委員会が所管することになった。2009年に消費者庁が設置されると、今後は制度そのものが消費者庁に移管された。ただし、食品表示基準によると、特定保健用食品は「健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令第2条第1項第5号に規定する食品」となっていて、健康増進法の影を引きずっている。
(2015年6月作成) |