危害分析表は、英語ではHazard Analysis
Sheetなので、ハザード分析表と訳することもできる。つまり、ハザード分析表と危害分析表の名称は似ている。
しかしながら、両者の内容は明確に異なる。危害分析表は、CODEXのHACCPの手順6(原則1):「各段階に関係するすべての潜在的な危害要因を列挙し、危害分析を実施し、確認された危害要因を管理するためのあらゆる手段を考える」のうち「危害分析を実施し」に対応するために作成する表である。一方、ハザード分析表は、上の「各段階に関係するすべての潜在的な危害要因を列挙し」に対応するために作成するハザードリストに類似している。
つまり、ハザード分析表の作成は危害分析表の作成の前段に相当する。
ハザード分析表では、単にハザードをリストアップするだけでなく、発生する過程の順に並べ、8項目(規制の内容、法令、リスク評価、危害/違反の頻度、主な危害、事業者の責務、協力関係者、備考)について簡潔に記述した表を作成するので、
ハザードリストと呼ばずにハザード分析表と名付けている。なお念のためであるが、8項目の内容は例示であり、過程毎にあるいは規制ハザードか認識ハザードかにより内容が異なる。
実は当初、筆者もハザード分析表と危害分析表の関係を誤解していた。その理由の一つは、危害分析が誤訳のためである。この件については既に多くの方が指摘していることではあるが、改めて言及しておく
。危害分析表の英語はHazard
Analysis Sheetなので、本来は危害要因分析表あるいは危害の原因となる物質分析表と呼ばれるべきである。危害分析表ならば、英語ではHarm
Analysis
Sheetとなるはずである。食品安全施策における重要な手法の用語をいつまでも間違ったままにしているので、ハザード分析表の作成でも不便なことがある。