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ハザード分析表とHACCP



 HACCPは、Hazard Analysis Critical Control Pointの頭文字をとった略語で、日本語としては「危害分析及び重要管理点」と訳されている。国際標準となっている食品の衛生管理システムである。

 この衛生管理システムは、従来は製品になってから検査することにより管理してきたのに対し、製造工程で想定できる全ての危害要因を挙げておき、次ぎにその重要度を査定し、そのうえで重要と定めたポイントを製造段階で管理する方式である。これに加えて、継続的に管理措置を監視・記録し、異常が認められたら直ぐに改善することも強調されている。

 ハザード分析表はHACCPとは別視点でのアプローチであるが、その基本理念には共通点がある。具体的には、想定される全ての危害要因を挙げることから始めるということと、生産から消費に至る全ての過程を対象にすることである。

  両者の重要な違いは、HACCPが生産現場での防除措置を中心に衛生管理システムの確立を目的としているのに対し、ハザード分析表ではハザードを挙げること自体を目的としていることである。 HACCPの中でハザード分析表を位置付けるとすれば、HACCPの手順6(原則1)である「各段階に関係するすべての潜在的な危害要因を列挙し、危害分析を実施し、確認された危害要因を管理するためのあらゆる手段を考える」のうち「各段階に関係するすべての潜在的な危害要因を列挙し」に対応する。HACCPでは具体的にはハザードリストを作成する。ハザード分析表をハザードリストと呼ぶことには違和感はない。HACCPでは、ハザードリストにおいて生物学的ハザード、化学的ハザード、物理的ハザードに分類するだけで次のステップに進むが、ハザード分析表では8項目について各ハザードの特性を記述してそこで留まる。

  ハザード分析表は、HACCPにおけるハザードリスト作成の改善案の側面がある。

(2013年12月作成)