はじめに
日本人の多くは、食事に旬の物をできるだけ取り入れたいと思っている。一方、旬について記述した著作物は多く、サイト上でも旬情報が数多く提供されている。したがって、それらを収集すれば、各食材の旬が何時かは自ずと判るような気がする。ところが、実際に資料を集めて見比べてみると、その期待は裏切られる。それぞれに表記の仕方も結論もバラバラなのである。全ての食材に対し1ヶ月を割り当てているものがあれば、3ヶ月程度、場合によっては一部の食材を一年中ずっと旬としている例もある。旬の時期が3ヶ月も異なるのが珍しくなく、互いに正反対の季節となっている例もある。集めた範囲では、どの資料を信頼すれば良いか判断できなかった。この分野には広く認められた資料が存在するか不明である。
論点整理
このような混乱は、旬の見方が人により異なることを示している。これは旬の特質であるらしいが、何故このような混乱があるのかは整理しておいた方が良い。そこで、結論の違いがどこに起因しているかを中心に、旬の見方の相違を調べてみると、以下の項目を挙げることができた。すなわち、
@出回り期(および安い時期)を重視するか、食味に力点をおくか
A消費者の立場からみた旬とするか、生産者の立場からみた旬とするか
B日常の食事に旬を求めるか、特別な食事に旬を求めるか
C地域を特定するか、しないか
D旬を1ヶ月に絞るか、拘らないか
E地元の産物を重視するか、拘らないか
F食材をできるだけ一般名で捉えるか、品種・産地ごとに区別するか
G初物・新物を旬に含めるか、否か
H現状を重視するか、昔の状況を重視するか
である。念のために、全体として共通していると思われることは
@季節感を重視する
A国産品を優先する
B自然な条件での生産方法・流通方法に拘る
C食材の新鮮さを重視する
であった。主要な論点は@の出回り期を重視するか食味に力点をおくかと、Aの消費者の立場からみるか生産者の立場からみるかになると思われるが、この2つの規準で多くの意見を
きれいに分類できるというわけでもない。著者それぞれの主張があるようにみえる。
本サイトのスタンス
本サイトでは、消費者からみた旬の立場をとり、出回り期(および安い時期)を重視する。日常の食事に旬を求める視点を主張するからである。地域は東京とし、地元の産物をできるだけ重視する。食材は原則として一般名で捉え、旬を1ヶ月とする。現状を追認し、旬
も時代とともに変化すると考える。新物は含めるが、初物は含めない。この立場は常識的と信ずる。
とはいえ、必ずしもスタンスが明確に定まらない規準もある。たとえば旬は1ヶ月と考えるが、一般には旬を季節で捉えることも多いことから、3ヶ月程度の情報も必要と考えている。ただし、これはシーズンと呼ぶ。用語を変えるのは旬との区別を明確にするためである。シーズンを加えるのは、旬の期間だけでなく、専門家ほど旬を厳しく捉える傾向にあることに配慮し、旬をやや緩く捉える用語が必要と考えるためでもある。また、現状を重視するが、消費者の既成観念も無視できないので、必要に応じて昔の状況も考慮する。また地元の産物を重視しようとするが、現実に考慮するのは容易でない。
旬に対するスタンスをこのように明確にしても、旬の時期を判定できないことも多い。特に野菜と魚介類は困難が大きい。出回り期を知る資料としては東京都中央卸売市場年報に掲載されている取扱量を採用するが、野菜の多くは明確なピーク
の時期がない。多くの野菜で