消費時期を移動させた野菜・果物


 野菜の消費が周年化したことは良く知られている。このことは「野菜消費の周年化」の項目でも説明した。しかし、消費時期も移動させたことは、案外知られていない。野菜消費の周年化を解析する中でその事実を明らかにした。

 解析した期間は1951-1978年である。ここでは平均消費時期と名付けた指標を用いている。詳細は参照資料をご覧いただくことにするが、消費の平均時期と理解いただければよい。

 例えばトマトの場合、1951年の平均消費時期が726日であったが、1978年は71日になった。このような数値を統計解析すると、野菜・果物35品目中17品目が早期化が有意であった。早期化とは平均消費時期が早くなったことを意味する。なお、17品目は全て周年化を進行させた野菜・果物ばかりであった。

 その中でいちばん早期化の程度が大きかったのはいちごで、いちごは年毎に3.6日の速さで消費が早まっていた(ただし、解析期間は1965-1978年)。早期化の程度が大きかったのは、いちご、ピーマン、トマトなど施設野菜とされる果菜類の品目に集中していた。

 以上の結果は野菜・果物消費の周年化が、消費時期の早期化を伴っていたことを示している。消費時期の早期化は、高価格が期待できるはしりの時期に向けて出荷が進み、それが常態化した結果である。しかし、生産者がそうするよう誘導したのは消費者に外ならない。栄養豊富で安価な野菜・果物の消費が周年化することには利点も 明確であるが、早期化させることには何の利点も見出すことができない。

参照資料: 柳本正勝・柳本武美:野菜・果物における消費時期の移動, 日本家政学雑誌,34巻,663667 (1983).