食品標準成分表と食品成分の季節変動 日本食品標準成分表は、日本で通常に消費されている全ての食品の栄養成分を掲載している。栄養指導などの際には必ず利用される、貴重なデータブックである。適宜改訂されていて、現在は五訂である。 この五訂日本食品標準成分表では、ほうれん草とかつおには季節による成分変動が掲載されている。つまり「ほうれん草の葉、生」ではビタミン Cは100g当たり35mgとなっているが、備考に夏採りの場合20mg、冬採りの場合60mgと記載されている。かつおでは、「春獲り、生」と「秋獲り、生」とに分けて項目立てして、成分を掲載している。その中でいちばん差が大きいのは脂質で、前者が100g当たり0.5g、後者が6.2gとなっている。なお備考で、前者は初がつお、後者は戻りがつおと説明されている。こうしてみると、季節により成分の差が大きい例のあることが分かる。しかし、これを強調するのは間違いである。これらは例外的なのである。 というのは、日本食品標準成分表を五訂に改訂するに当たって、野菜と魚介類について季節による食品成分の変動を盛り込むことを、重点課題の一つにしたのである。改訂作業の節目節目にはマスコミに説明していたが、いつもそれを強調していた。これは最終発表の直前まで続いた。 ところが、現場から挙がってくるデータは必ずしもそれを裏付けるものではなかった。例えば、野菜に関する中間報告の一つをみると、『「季節による(分析値の)変動は小さく、(また)一定の傾向も見られなかった」のが、アスパラガス、オクラ、キャベツ、きゅうり、ごぼう、にんじん、ピーマン、れんこんの8品目。「季節による成分値の変動は小さく、一定の傾向も見られなかった」のが、だいこん、たまねぎ、はくさい、なす、ブロッコリーの5品目。「成分値の変動は小さく、季節による一定の傾向も認められなかった」のがトマトの1品目で、合計14品目は、成分の変動は小さかったという結論になっている。また、かぼちゃは「季節による変動が見られたものの一定の傾向は認められない」、レタスは「カロテン、葉酸及びビタミンCの分析値にかなりの変動が見られたが、季節による一定の傾向が認められなかった」』となっているのである。 魚介類も同様だったと聞いている。要するに、食品成分の変動には品種、栽培方法、栽培地、気象条件など多様な要因があり、 その中から季節による影響を検出することは容易ではないのである。 |