穀物自給率が低い国々


 日本の穀物自給率は27%と低い。その改善は重要な政策課題である。楽観的すぎるのは無責任の誹りを免れないが、深刻になりすぎるのも適切でない。日本は たぶんこの課題と未来永劫付き合っていかざるを得ないからである。ただ、穀物自給率が低いのは日本だけではない。穀物自給率低い国々の実情を把握することは、日本の取り組みの参考になる。

 実は穀物をほとんど生産していない国も珍しくない。これらの国には、シンガポールのような都市国家、モルジブのような島嶼国、アラブ首長国連邦のような産油国などがある。穀物を消費していない国はないので、これらの国の穀物自給率は0%かそれに近い。これらの国の食料確保がどうなっていくかは注意深く見守ることが望ましい。現在は概ね順調に穀物を確保できているが、世界的に穀物が不足基調になると、そのしわ寄せが最初に表れると推定できる。

 欧米先進国でも、穀物自給率の低い国がある。スイスオランダである。それぞれ63%と24%である。スイスは山国で、伝統的に穀物自給率が低い。しかし、食料確保のためには大変な努力をしている。小麦の備蓄を徹底し、国民に備蓄した小麦の消費を求めている。オランダが穀物自給率を低下させたのは古いことではない。EUの農産物過剰基調に影響されている。その反面、EU全体として余力があるかぎり、EUの最初の段階からの加盟国であるオランダには穀物の供給が期待できるようにみえる。また、オランダが低下させたのは飼料用穀物で、食用小麦の自給率は低くない。

 我が国にとって最も参考になるのは、韓国台湾であろう。日本は27%であるが、韓国も36%にすぎない。台湾はデータが見つからないが同じような条件にあるという。これらの国では、競争力の強い工業製品をアメリカなどに輸出していくためには、競争力の弱い農産物の輸入を拒否できなかった点で、日本と同じような経緯がある。この意味で、韓国や台湾とは同病の誼がある。

20059月作成