穀物自給率が低下した経緯


 現在(2003年)の穀物自給率は27%である。しかし、33年前の1960年には82%であったので、昔から穀物自給率が低かったわけではない。そ こで、どのように減少させたのかの経由を整理しておきたい。なお、ここで総合食料自給率でなく穀物自給率を取り上げている。その方が話が単純になるためである。

 日本における穀物自給率の低下は、穀物の輸入が増加する一方、国内における穀物の生産が減少したためである。それが同時並行的に起きたので、 自給率の低下が急速になった。特に顕著だったのが、1960年代1970年代のことである。

 まず穀物の生産では、特に飼料用穀物(粗粒穀物)の減少が顕著で、1960年の266万トンから1980年には40万トンにまで減少した。米と並ぶ食用穀物である小麦の生産も、1960年の153万トンから1980年には54万トンに減少した。米は1960年の1,286万トンから1980年には975万トンに減少したが、1980年は特異年で前後の年では1,000万トンを超えており、漸減したと評価するべきである。

 一方、輸入も飼料用穀物が増加が顕著で、1960年の160万トンから1980年には実に1,938万トンになった。小麦も増加して、1960266万トンから1980年には556万トンになっている。米は1960年の21.9万トンから1980年には2.7万トンに減少しているが、輸入を完全に統制していたためで、量的にも少ない。

 飼料用穀物の輸入が増加したのは、当時畜産物の生産が急増したため飼料用穀物の需要が増加したが、国内生産は上述のように減少したからである。食用穀物も消費が漸増していた小麦は輸入を拡大して、消費が漸減していた米の生産を堅持した。これが1960年代1970年代に穀物自給率が急減した経由である。

 1980年以降は、小麦の生産にも力を入れるようになり、畜産物を輸入するようになって飼料用穀物の需要はあまり増加しなくなった。このために穀物自給率もあまり低下しなくなった。

 しかし、米の輸入も始まっている今日、穀物自給率を向上させることはもちろん、維持する道も遠くて険しい。

参照資料:食品総合研究所食料資源問題研究会:食料需給動向グラフ集, 農林水産省食品総合研究所食料資源問題研究会 (1999).

2005年9月作成