はじめに


 世界各国の人々は、固有の食文化を持ち、食生活を営んでいる。世界の食生活がどのような特徴を持っているかは興味を持たれてきた。したがって、これまでにもいろいろなところで紹介されている。しかし、一般的な紹介では、たとえばトマトとパスタのイタリアというように、その特徴的な部分を強調する。そして、その特徴があたかも過去も未来も変わらないかのようである。

 食事の一義的な目的は栄養摂取である。したがって、世界の食生活は基本的には共通する部分があるはずである。各国の特徴はその上に立っている。また、世界の国々の食生活は目覚ましく変化している。日本では日本の食生活だけが大きく変化した論調が多いが、別ページ(リンク)で説明したように、実際は1980年以降にかぎれば、日本は変化が小さかった国である。

 ここでは、世界の国々の食料消費パターンの特徴を紹介する。具体的には、現在の特徴と、この30年間にどう変化したかである。食料消費パターンとは、具体的には20食品群の消費量のことを指している。食料消費パターンでは食生活の一面しか見ることができないが、客観的に比較できるという長所がある。20食品群の消費量は、FAO(国連食料農業機構)が毎年出している食料需給表(Food Balance Sheets)に掲載されている。ただし、ここでは2000年のデータを用いている。

 付け加えたいことがある。納得がいかない結論が得られると、何時も「データは信頼できるのですか」という反論がある。この場合、FAOの食料需給表に掲載されているデータの信頼性になる。統計値が実際と完全に真実と一致することはあり得ない。そして、真実と統計値との相違は、そのまま結果に反映される。しかし、この種の解析はどのような目的でも、統計資料に依拠するしかない。問題は採用するに相応しいかである。この意味では、ここで採用した資料は信頼できる。FAOは国連の機関であり、食料需給表は長期に亘って公表されている。