フランスの食料消費パターン


現在の特徴
 世界に冠たるフランス料理を育てたフランスは、食料消費パターンでも世界の模範であろうか。

 現在のフランスにおける各食品群の消費量を下記に示した。日本と比べると(グラフ)、フランスは牛乳乳製品、肉類、果実、酒類、動物油脂の消費量が多い。これは予想通りであるが、野菜の消費量も日本を上回っており穀類はほとんど差がない点で、 これまでの常識と異なっている。日本の消費量が多いのは、魚介類と油糧種子が目立つ程度である。アメリカと比べると、植物油脂はアメリカの方が多くて、動物油脂はフランスの方が多い。フランスでは、食事指導の効果があまり現れていないようである。

 世界各国と比べると、臓物類の3位を筆頭に、動物油脂(5位)、鶏卵(6位)、肉類(10位)、牛乳乳製品(12位)と畜産物が上位に目白押しである。これを反映して、 脂肪摂取量を調べると、フランスは世界一である。脂肪特に動物脂肪の摂りすぎという点で、フランスは現在における栄養指導の反面教師である。

 世界の食料消費パターンを主成分分析して第2主成分スコアまでを図示すると(参照資料の第1図)、フランスは第一主成分(豊かさの因子)の上位に位置する。第二主成分(穀物離れの因子)はゼロ付近である。

 フランスの食料消費パターンといちばん近いのはオーストラリアであるが、アメリカ、ニュージーランド、カナダと旧英国植民地の国々が僅差で続く。なお、1970年には隣国で人種的にも似ているベルギーが2位であったが、 現在ではベルギーは10位にまで後退している。クラスター分析してデンドログラムを作成すると(参照資料の第3図)欧米群に属するが、オーストラリアと対を形成し旧英国植民地の国々の小群に含まれる。ベルギーは別の小群に分類される。

30年間の変化
 この
30年で増加させた食品のうち、量が多いのは牛乳乳製品と穀類である 。しかし、それよりも動物油脂と植物油脂の両方を増加させたことが目を惹く。脂肪摂取量世界一のフランスは、この30年でも増加させていた。一方 、減少させたのは酒類といも類である。酒類は80年代に顕著に減少させており、ぶどう酒大国イメージのあるフランスも、その実態はイメージと乖離しつつある。

 フランスの食料消費パターンが変化した方向は、アルバニア、クエート、イスラエルに近い方向である。その程度も小さくない。地中海沿岸国であるが非西欧の国々である。逆に離反した程度 が大きい国にはベルギーを筆頭に西欧の国が集中する。なお、日本にも僅かであるが離反した。

参照資料:柳本正勝:世界と比較した日本の食料消費パターン, 食品総合研究所報告, Vol.68, 19 (2004).

           表 フランスにおける各食品群の消費量(kg/人年)

食品群 穀類 いも類 砂糖作物 砂糖類 豆類 種実類 油糧種子
消費量 115.4 67.4 0.0 40.3 2.1 3.9 2.7
植物油脂 野菜 果実 嗜好飲料 香辛料 酒類 肉類
16.9 131.3 94.4 9.7 0.2 100.1 99.9
臓物類 動物油脂 牛乳乳製品 鶏卵 魚介類 海草類  
9.0 19.0 258.6 16.0 31.2 0.1