「国民健康・栄養調査」は、豆知識で説明してあるように、長く続いた「国民栄養調査」を拡充した調査である。栄養中心から健康を見据えた調査に改革されたが、現在でも日本人が摂取している栄養素についての最も信頼できる調査である。一方、「日本人の栄養摂取基準」も、豆知識で説明してあるが、「日本人の栄養所要量」を見直した日本人にとって好ましい栄養素の摂取量を提示している。 食生活指導では、中高年男性を中心に食べ過ぎの警鐘が鳴らされている。痩せすぎを問題にされるのは若い女性に対してくらいである。したがって、「国民健康・栄養調査」での結果も、日本人のエネルギー摂取量は、「日本人の栄養摂取基準」の値を軒並み上回っていると推察される。 ところが、実際にはそうではない。表1には3つの成人世代についてデータを比較している。数値を見れば分かるように、性別世代を問わずエネルギー摂取量は推定エネルギー必要量(表では必要量)に足りていない。表1では一部の世代しか示さなかったが、男女とも全世代に亘って足りないのである。この結果を素直に解釈すれば、日本人はエネルギー摂取量が不十分だということになる。この事実は専門家の間では知られているが、国民に説明する資料で言及されることはない。そして、「国民健康・栄養調査」では摂取量が実際より少なくなる傾向があると説明することがある。もしそう考えるのであれば、まず調査方法を改善するべきであろう。 表1の事実をより詳細に示した結果が表2である。表2では男女18〜29歳の世代について、エネルギー摂取量が少ない順に並べると10%、25%、50%、75%、90%の人がどれだけ摂取したかを表している。中央値(50%タイル)すなわち丁度真ん中の人は男女とも推定エネルギー必要量(男:2,650kcal、女:2,050kcal)より少ない。これは表1の結果からも類推できる。注目するべきは75%タイルの人である。男女ともエネルギー摂取量が推定エネルギー必要量を下回っている。つまり、この世代の人は実に3/4以上のが小食なのである。これほどでないにせよ、全ての世代でも男女とも小食の人が過半数であることを確認できる。 「日本人の栄養摂取基準」に掲載されている推定エネルギー必要量が高すぎる可能性もあるが、これは国際的に認められた数値を利用している。となると、日本人は小食というしかないのである。
|