未来の食生活で最も変化が大きいと考えられることは、健康志向が更に高まることに伴う変化であろう。長寿でありたい、活力ある人生を送りたいというのは、人類共通の願いである。現在 では中進国あたりまでが食料確保に不安のない時代となっている。そうすると、人々の食への関心は健康に向かう。 ヒトゲノムの解明に代表される科学技術の進歩により、人体に関する科学的解明は急速に進むことが見込まれる。その結果、食べ物が人の健康に及ぼす影響についての知識も飛躍的に集積されるに違いない。特に、遺伝子多型に由来する個人毎の体質の違いも解明されていき、これまでの性別・年齢別・運動量別といった層別の指導ではなく、体質ごとの指導にまで進むので、個人レベルといえるような食事指導が可能になる。そうなると、たとえば食塩の過剰摂取のように、悪影響の出方に個人差が大きいにも係わらず全ての人に対して警鐘が発せられている現在の指導内容が改められ、影響の現れ易い特定の人だけに指導するようになるだろう。逆に現在見過ごされているが、ごく一部の人には悪影響がある因子も解明が進むであろう。 栄養素とか機能性成分の滋養効果も同じように、統計的に有意な効果だけでなく、個人レベルでの効果の解明が進むであろう。栄養素だけでなく機能性成分の効果もかなり解明され、 効く人と効かない人の整理が進むと予想される。
この結果、現在は病人・半病人しか受けていない食事指導に対する信頼が高まり、健康な人が積極的に食事指導を受けるようになる。健康診断を受ける目的が病気の早期発見とともに食事指導の内容調整になるかもしれない。
そうすると、個人に対する食事指導の重要性が増すが、これは主として栄養士の仕事であろう。ただ、栄養士が保健所にいて指導する可能性もあるが、食品産業にいて食品企業が食品と共に個人対応の栄養情報を提供するようになる予感がある。 |