調理は主に食品産業が担当する


 調理の外部化はこれまでも確実に進んできた。調理の外部化と外食の増加を混同する人も少なくないが、これは間違いである。外食は調理の外部化でもあるが、主に食べる場の外部化である。これに対し、中食は調理の外部化で、食べる場は問わない。近年の動向をみると、中食産業が顕著に発展しているのに対し、外食は増加していない。この傾向は着実に進行すると予測される。

 中食産業の発達は、家庭での料理を軽減化している。典型的なのは弁当である。弁当はかつて家庭で調理され外で食べるものであったが、今日では中食産業で調理されて家庭内でも食べるものになった。また、中食産業も外食産業も、店内・厨房で調理する業態から、調理の主な部分は工場で行う業態に移行してきた。つまり、調理そのものは工場が中心になりつつある。家庭はもちろん、外食産業や中食産業よりも、工場の方が調理設備、調理担当者の熟練度、作業効率などの点で有利である。

 調理の外部化を阻害している要因は、調理作業そのものよりも、消費者の注文にきめ細かく応えるシステムと、出来上がった料理を求められた場所に素早く提供するシステムの構築が難しいことである。前者の消費者の注文を受注する技術はIT技術の進歩により、高度なシステムが構築されていくと予想できる。問題は後者である。この課題を解決するために新しい業態が登場し発展するはずである。業態の具体的なイメージを提示することは困難としても、ほか弁、コンビニ、宅配のどれかを元に発展するとは推定できる。

 産業調理と家庭調理はどのように棲み分けられるであろうか。産業に委ねられると見込まれる部分に、下処理、細かく刻んだり長時間煮るような手間の掛かる操作、少量づつ必要な料理、ご飯や味噌汁のように日常的な料理がある。家庭に残ると思われる部分に、仕上げの加熱、テーブルアレンジ、家族全員が楽しむ料理、趣味的料理などがある。

 一方、家族制度は維持されていると予測できるので、食事を家庭で摂るという習慣は維持される。生活の中で頻度の高い行為は、外部化し難いからである。たとえば、風呂は一時期外部化したが、現在では家庭で入浴するのが一般的となった。人と団らんの場としての外食、楽しみを広げるための外食は増加するであろうが、日常的な食事は、特に朝食と夕食については、家庭に回帰することが予想される

 家庭で調理を担当するのは女性の方が多いという傾向は維持されるが、男性は何もしないという時代は終わっているに違いない。ただし、上述のように面倒な部分は産業が担当するうえ、家庭での調理設備も大幅に進歩しているので、現在の中高年男性でも実行可能なものとなっている。