国民健康・栄養調査は、長く続いた国民栄養調査を拡充し、 2003年から新たに出発した。準拠法律が、栄養改善法から健康増進法に変わった事実が改組の方向を示している。報告書の名前も、「国民栄養の現状」から「国民健康・栄養調査報告」に変わった。最新の 資料は2004年の調査結果である。中味は国民栄養調査を概ね踏襲しているが、「食生活状況調査」が「生活習慣調査」に変わるなど、健康に係わる実態調査の部分が特に拡充されている。 国民栄養調査は、栄養欠乏が深刻であった時代に、国民の栄養素等摂取量の実態を的確に把握することを目的としていた。実際に調査するのは食品の摂取量であるが、日本食品標準成分表の値などを利用して、栄養素の摂取量を算出する。当初はエネルギー摂取量、タンパク質の摂取量向上が目標であった。 その後、むしろ過剰摂取の問題が重視されるようになり、特に食塩摂取量を減少させる必要性が指摘されるなど変容してきた。さらに、生活習慣病との係わりに力点が置かれるようになり、脂肪の量と質などが問われるようになっていった。このトレンドをさらに進めて、健康との係わりを前面においた調査がなされることになった。 2004年の報告書をみると、 メタボリックシンドロームへの懸念が強調されている。国民健康・栄養調査は、実際に食べた食品の量を調べており、集計も性別・年齢別・地域別にもなされていることから、栄養素摂取状況を知る貴重な資料である。問題点としては、調査期間は一日しかなく、 しかも記入してもらうか聞き取りによっていることがある。このために、過少申告が指摘されており、実体との誤差の要因となってる。一方、食料需給表においても、一人当たりのエネルギー、タンパク質、脂肪の摂取量が公表されている。食料需給表では農産物の 需給実態を把握しているにすぎないが、年間の調査であるために大きく外さない長所がある。 |