安全情報とは、前項で説明してあるように、食品の安全性に係わる情報と捉えている。この安全情報が安全に影響するか否かを問うと、あるいは言葉の遊びに聞こえるかもしれない。しかし、安全情報を正しく理解するためには必要な問いかけである。結論からいうと、安全情報は安全に直接的には影響しない。安全に影響するのは、食品中に含まれているハザードである。参考までに、栄養も栄養情報の影響を受けない。安全や栄養は食品に含まれているハザードや栄養成分などの物質の作用である。質量もエネルギーもない情報は、安全には直接影響できないのである。こう書くと当たり前で、安全が情報の影響を受けない事実は常識的と思われるが、改めて指摘されることはない。
もちろん、安全情報と安全は無関係ではない。安全に関する情報が、安全で役に立つのは、@摂食するか否かの判断材料にして食品による危害の回避すること、A購入した食品を安全に取り扱うための知識を得ることである。@に関して、消費者がいちばん知りたいのは、販売されている食品が安全か危険かの情報である。しかしながら、法律では安全な食品のみが販売できるのだから、食品事業者が自身の販売している食品を危険であるというと矛盾がある。つまり、食品事業者からの危険情報は期待できない。食品事業者に期待できる安全情報は、安全規制に準拠したかどうかである。なお、危険情報でもアレルギー食品のような特定集団に危害を及ぼす事項とか食品事業者の取り扱いにおけるミスなどに由来する告知は期待できる。規制当局からは危険情報も期待できるが、規制当局が合理的な根拠なく危険情報を流すと営業妨害になるので、どうしても慎重になる。
Aの購入した食品を安全に取り扱うための知識とは、販売時点では安全といえても、しばしば消費者が適正に取り扱うことが前提となっている。食品の一般的衛生管理は消費者の責務であるが、一般的とは言えない衛生管理あるいは誤解を生じがちな衛生管理に由来する危害を未然に防ぐために必要な情報が求められる。これに関し重要なのは、食品衛生微生物への対処方策である。食品衛生微生物の対処方策を説明することは本ページの目的から外れるので、ここでは事実を指摘するに留める。