パン
パンの歴史
パンの伝来は鉄砲(
当時多様なパンが伝わったが、その中で小麦を原料にしたパンだけが受け入れられた。初めはフランスパンが多かったが、次第にイギリスパンが主流になる。そして、ご飯と同じ主食として位置づけられ、食パンの名を得た。これに対し、日本風なパンとしてあんパンに代表される菓子パンが開発されるが、主流にはならなかった。
食パンは、基本的には変わっていない。しかし、詳細にみると結構変化している。まず、軟らかくなると共に噛み応えのある食パンになった。そして内相が実にきめ細かくなった。焼き姿の美しさは、欧米のパンを完全に凌駕している。
パンのもう一つの変化は、焼きたて志向である。イギリスでは焼いてから2日後、3日後がおいしいとされていたと聞くが、日本では昨日焼いたパンは嫌われる。できれば、焼き立てのまだ熱いパンが良い。
普及したとはいえ、戦前まではまだ都会が中心であった。全国津々浦々にまでパンが普及するのには、学校給食が大きな役割を果たした。学校給食パンはパンの工場生産を促した。その結果、大企業が台頭し、均質で衛生的なパンを生産するようになった。ところが最近、廃れていた町のパン屋さんがブレッドハウスと名前と姿を変えて健闘している。ブレッドハウスではパンの多様化が進み、食パンはかつての 主流の座を失いつつある。
変化が語る日本人の嗜好
何でも緻密できれいにしてしまうのは日本人の職人技であるが、そうしないと支持しないのが見栄えを大切にする日本の消費者である。欧米諸国を旅行して不思議なのは、パンの本場のはずなのに、まずいだけでなく不揃いで
貧相である。
「軟らかくて粘りがある」方向に変化したのは、ご飯も同様である。
新鮮さを競うのはパンだけではないが、パンでは顕著にみられる。