ビール


ビールの歴史
 ビールは紀元前
4,200年前には開発されていたという。日本語のビールの名前の由来は、オランダ語のBierと考えられている。南蛮時代にも日本に入ったと思われるが、記述は残されていない。本格的に入ってきたのは幕末で、イギリスのエールも入ったが、直ぐにチェコで開発されたピルスナータイプが主流となる。ただし、当時はドイツビールと理解されていた。明治8年にはもう国産ビールが販売されている。その後ビールは、大きくは変わっていない。外国に行ってビールを飲んでも、殆ど違和感がない。しかし、暫くすると日本のビールが恋しくなる程度には変化している。

 小さな変化の一つは原料にトウモロコシを添加するようになったことである。ビール純粋令のあるドイツだと大問題となるはずであるが、ごく自然に受け入れられた。次にヨーロッパのビールよりは冷たくして飲む酒になった。日本のビールは大企業に担われたので、冷やしたビールを提供することが可能であった。また、ビールが冬のお酒である清酒に対して夏の酒として進出したためでもある。もう一つ指摘しておくべきことに、ビールメーカーが鮮度を競っていることがある。

 大きな変化は近年になって、税制の係わりで登場した。一つは地ビールの登場である。これは、ピルスナータイプが下面発酵させるビールであるのに対し、上面発酵させるビールの登場を意味した。地ビールは一定の地位を確保したが、ラガービールを脅かすほどになっていない。それよりも、発泡酒・第3のビールの登場は画期的である。ビールとは何かを問い掛ける存在になりつつある。

変化が語る日本人の嗜好
 発泡酒・第3のビールの急速な増加は、安価なためだけでなく、日本人がすっきりした酒を好むためと考えられる。ピルスナータイプが選ばれたこと、原料にトウモロコシを使用すること、スーパードライの衝撃も同様の表れである。

 ビールでも鮮度競争が起きているのは、ある意味で自然である。日本で食べ物が変化するキーワードの一つが「新鮮」である。