食経験を活用した安全性評価制度

 
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安全性評価に食経験を活用している制度は、@個別型病者用食品、A組換えDNA技術応用食品、B特定保健用食品、C「健康食品」、D機能性表示食品の5つである。その概要をまとめて、下表に示した。この5つの制度が登場した歴史は、前ページで説明している。

 国による安全性評価がなされるのは、@個別型病者用食品、A組換えDNA技術応用食品、B特定保健用食品の3つで、C「健康食品」とD機能性表示食品は民間に委ねている。食品安全性評価において、食経験が安全性評価の前提条件となっているのは、@個別型病者用食品とA組換えDNA技術応用食品である。B特定保健用食品は、安全性評価において安全性情報・安全性試験結果が主で、C「健康食品」とD機能性表示食品は安全性評価において食経験が主となっている。

  このように整理してみると、年月の経過とともに、安全性評価における食経験のウエイトを高めてきたことが分かる。なお、A組換えDNA技術応用食品とB特定保健用食品は月単位でBの方が早いけれども、同じ年であり説明のし易さも考慮して順序を入れ替えている。

 

(2015年6月作成)

 

食経験が係わる安全性評価制度とその位置づけ
           
           
制度の対象 個別評価型病者用食品 組換えDNA技術応用食品 特定保健用食品 「健康食品」 機能性表示食品
制度の主体 消費者庁
(当初は厚労省)
厚生労働省 消費者庁
(当初は厚労省)
民間団体
(厚労省の外郭団体)
消費者庁
評価指針の性格 許可基準 食品安全委員会ガイドライン 食品安全委員会ガイドライン 自主点検ガイドライン
(厚労省がひな形)
消費者庁ガイドライン
当初作成年 1973年 1991年 1991年 2005年(ひな形) 2015年
現行版作成年 2011年 2004年 2004年   2015年
安全性評価の主体 消費者庁 食品安全委員会 食品安全委員会 民間団体 個別企業
(消費者庁に届出)
食経験の評価対象          
  関与成分  
  原材料(配合原料)      
  基原材料(宿主)    
  含有食品      
  製品食品    
  最終製品      
安全性評価における役割 食経験は前提条件 食経験は前提条件 食経験は従 食経験が主 食経験が主
食経験の区分 ある・なし ある・なし 十分な食経験がない、又は乏しい 食経験がないもしくは乏しい 食経験で安全性が確認できるあるいは不十分
食経験内容の公開 × ×
食経験評価内容の公開 × ×
安全性内容の公開 × ×
安全性評価内容の公開 × ×
市販後調査     奨励 奨励 奨励
製品の形状 通常食品 通常食品 通常食品および錠剤・カプセル形態等食品 錠剤・カプセル状食品 サプリメント等加工食品、生鮮食品も含まれる
          作成:柳本正勝