トップページへ 食品における商品企画のコンセプトとして従来は、安全性と嗜好性(おいしさ)が重要とされてきた。これに加えて、安心性があることを指摘したい。安心性という用語は使用しなくても、安心性向上のための措置は講じられてきた。たとえば同じ食品添加物なら天然物由来のものを使い、野菜の売り場に生産者の写真を見せるのは安心性のためである。また、頭髪や虫など異物混入はしばしば安全性向上の一環のように語られてきたが、安全性の関連法令では問題にしていないため、不自然さを感じる人も多かった。これらは安心性の問題と捉えるのが妥当である。食品企業が重視している品質要素には安心性に含まれるものが多かった。 売れる食品を企画し新商品として開発することは、食品企業にとって経営戦略の基本である。商品企画の基本は顧客満足である。そのために、商品企画の担当者はいつも消費者がどうような品質を求めているかを研究している。一般的には狩野モデルでいうところの魅力的品質要素が注目される。魅力的品質要素に対する安心性の係わりは小さい。安全性に代表される当たり前品質要素も、これを損なうと消費者の反発・忌避を受けるので商品開発には重要である。当たり前品質要素は安心性に直接的な係わりがある。消費者が強い不満を感じている品質要素であれば、それを解消することにより訴求性を高めた商品になる。また、安全性についてはその科学的評価と消費者の受容基準が一致しないことも少なくないので、安心性の問題として特別な対応が求められる例も多い。 栄養性や嗜好性も安心性に包含されるけれども、それぞれに品質管理がなされるので、安心性の問題としては改めて論ずる重要性は高くない。 安心性の一部である適心性への対応で最初になすべきことは、消費者が具体的に何に不満・不安を感じているかを見極めることである。そのために、食品企業における商品企画の担当者は、各種社会調査の結果、商品の売れ行き状況、苦情相談の内容を収集し、それを吟味している。それが安全性・栄養性・嗜好性に係わるものであれば、それぞれの視点で解決を図ることになる。しばしばこれらに該当しない品質要素に突き当たる。これは適心性で説明できると考えている。ただ漫然と消費者が潜在的に求めている品質要素というのではなく、適心性と整理すれば、それに応えるための品質目標を設定し易くなる。確かな品質目標が設定できれば、商品企画としては成功である。 (2013年6月作成:柳本) |