適心性は、安心性との関連でみると安全性など他の基本特性と異なり必ず情報が付いて安心性の構成要素となる。したがって、「適心性+情報=安心性」と表現することができる。
この式には安全性なども加えるべきであるが、それよりも強調したいのは、この式は適心性の一面を表しているに過ぎないことである。というのは、適心性の要素は不安感を生じさせるだけでなく、安心感を高め、不安感を相殺するものもある。具体的には、自然、天然、健康、国内産(地場産)、「生産者がみえる」、伝統などは、安心感を高める要素である。これらの要素は消費者の共感感情を呼び起こす。この部分では、「適心性+情報=安心性」が成り立たないことは明らかである。両者の違いは安心性がネガティブな効果だけを対象にしているのに対し、適心性にはポジティブな効果もあるためである。
このような関係は適心性だけではない。栄養性や嗜好性も同じである。これらは適心性とは逆にネガティブな効果は小さくポジティブな効果が大きい。このために、従来栄養性や嗜好性と安心との関連は語られなかったけれども。実際にはネガティブな効果もあるので、栄養性や嗜好性も安心性に係わる。ネガティブな効果だけでポジティブな効果がないのは安全性だけである。
ここで強調しておきたいことがある。適心性は、栄養性・安全性・嗜好性とは互いに独立した食品の性質である。したがって、適心性は、栄養性・安全性・嗜好性とともに4基本特性を構成する
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