安全性などでは人の体に作用するのは食品の物質であるのに対し、安心性においては、食品の性質に係わる情報が人の心に作用する。 つまり、安心性において作用するのは、食品の性質に係わる情報である。 この情報が人の心に作用するのであるが、具体的には人の心に形成されている受容基準により評価される。その結果、受容基準に適合せず人の心に抵触する場合は不安になるし、
適合して抵触しない場合は安心できる。 一方、受容基準は人の心に形成されている。形成に係わる要因としては、生活規範(宗教・倫理・信条など)、食知識、食経歴、性向(安全志向・健康志向あるいは逆に無関心など)あるいは体質などがある。 受容基準の形成に係わる要因の内容は消費者個人でまちまちなので、受容基準も個人に依存する。 認識する品質情報は消費者個人により異なるし、受容基準も消費者個人により異なるのだから、安心するか安心しないかが個人個人により差が大きいのは当然である。 ただし、集団あるいは国民全体の総和としてみると、一定の方向を示す。それが安心性になる。 なお、従来食の安心・安全に関して重要性が強調されてきた情報は、上で述べてきた情報とは異なる。重要性が指摘されてきたのは、安全性試験、安全性基準、監視状況あるいは取締り状況についての正しい情報である。これらの情報は受容基準で評価されるというよりも、上で述べた食知識の一部として受容基準の形成に係わる。この情報は多くの場合行政機関が提供するが、上で述べた情報は食品事業者が提供する。 (2013年6月作成)(2014年1月改訂) |