「安全情報と安全安心」

 問題の所在


  安全情報とは、食品の安全性に係わる情報と捉える。安全情報には、食品事業者が提供する表示情報、行政機関が提供する安全確保施策に関する情報、メディアが流す安全情報(危険情報)など多様である。

  食品情報において食品表示の役割は高くなっている。生鮮食品ですら、消費者が観察するだけで安全情報を得ることが難しくなっているからである。

  安全安心が問題になると、消費者の安心に配慮した施策が講じられることがある。安全施策の中心にある規制値に反映されることは少ないが、しばしば表示を義務化することで妥協が図られる。消費者の安心に配慮すること自体は好ましいことではあるが、その結果、安全性施策に係わる表示には安全情報だけでなく、安全を標榜した安心情報も混在している。

  安全情報の表示と安心情報の表示が区別されることなく行われると、どちらも安全情報の表示と理解されてしまう。行政はこの部分は消費者の選択のための表示と説明するが、消費者には届かない。その結果、安心情報の表示がなされている組換え食品や放射線照射食品あるいは食品添加物が、危険情報として消費者に理解されている。

(2014年6月作成)