「安全感とは」で説明したように、安全感は定量的な扱いが可能である。その活用例を、「安全感 指数による比較U」と合わせて紹介する。 食の安全・安心に係わる調査は数多くなされている。この中で、最も信頼が高いといえるのが、食品安全委員会が行っている食品安全モニターに対する調査である。ここでは2008年の調査結果を用いて各要因の安全感を比較する。 結果は図の通りである。ここでは対象となった10の要因を安全感指数の低い順に上から並べてある。なお、符号が全てマイナスであることを確認して欲しい。具体的に数値をみると、汚染物質の安全感指数が -1.29といちばん低く、次いで有害微生物の -1.17、農薬の -0.99が続く。逆に安全感指数が高いものをみると、いわゆる健康食品の -0.32がいちばんで、遺伝子組換え食品の -0.44がこれに次ぐ。 この数値をみると、たとえば遺伝子組換え食品の安全感が予想以上に高いと感じるかもしれない。この事実は組換え食品の安全感が一般に言われているほど低くないことを示すと考えている。同時にこの調査の限界である可能性がある。安全感指数を評価するうえで重要な後者について説明しておくと、このアンケート調査の対象者が食品安全委員会の食品安全モニターである。食品安全モニターには食品の安全性に関心の高い人がなっているし、モニターに委嘱されると食品安全委員会の資料がよく目に触れる。その結果、国民一般からみると多少偏りのある集団となっているかもしれない。調査対象者に起因する偏りは、アンケート調査が抱える本来的な課題である。 |