「健康食品」の制度は、行政がガイドラインを示して民間団体が運用するスキームとなっているためにやや複雑である。このために、はじめに制度自体の仕組みを説明して、その後で行政がガイドラインを示して民間団体が運用するスキームを説明することとする。
まず、公益財団法人日本健康・栄養食品協会(以下協会)が運用している安全性自主点検認定登録制度を紹介する。この制度では、協会が事業者から申請を受けて、協会内に設置されている審査会で審議して、適当と判断されると認証登録する。認証登録された商品は協会のHPに公開されている。事業者は認証された「原材料」または「製品」に対し自主点検認証登録マークを表示することができる。
申請書の様式は公開されており、項目は詳細に亘っている。ただし、審査会の審査委員・審査基準・審査内容などは公開されていない。
この制度では登録の有効期間を3年単位としていることに特徴がある。登録の有効期間を設定しているので、企業に対し認証登録された商品に関する文献や健康被害に係る追加情報を収集するよう促すことが可能になっている。このように、
有効期間の設定は協会が認証登録された商品を定期的に点検するのに適した仕組みといえる。
協会は自前の資格として食品保健指導士を認定している。食品保健指導士は協会が推進している健康補助食品等に係るアドバイザリースタッフであり、協会の円滑な運営に役立てているが、その中に安全性自主点検認定登録制度も含まれる。
上で説明したように、安全性自主点検認定登録制度は行政がガイドラインを示して、それに則して民間団体が運用するスキームとなっているので、その部分の説明が必要である。協会が運用しているけれども、民間独自の制度ではない。
厚生労働省が示したのは、「錠剤、カプセル状等食品の原材料の安全性に関する自主点検ガイドライン」についてである。この通知は「錠剤、カプセル状等食品の適正な製造に係る基本的考え方について」とともに出された。
このガイドラインでは、錠剤、カプセル状等食品に使用する原材料(天然からの抽出物や化学的合成品)を対象に、事業者自らが一定の安全性点検をすることを求めている。その中で自主点検フローチャートを提示したことに特徴がある。このフローチャートはSTEP1からSTEP8で構成されている。
話がやや複雑になるのは、この自主点検を事業者が自前で行うのではなく、認証団体に委ねたことである。しかも認証団体を指定する団体も設立させた。
このガイドラインを受けて設立された認証団体を指定する団体が、健康食品認証制度協議会である。そして健康食品認証制度協議会は、認証団体として協会を指定している。ただし、
認証団体として指定されているのは協会だけである。しかも健康食品認証制度協議会は健康食品の定義を含め具体的な情報発信をしていない。活動実体があるのか疑いたくなるほど存在感がない。
さらに、本制度に影のように影響している報告書がある。「「健康食品」の安全性確保に関する検討会」及び「特別用途食品制度のあり方に関する検討会」の報告書である。この辺のところも本制度のスキームを分かり難くしている。
(2015年6月作成) |