「健康食品」は、特定保健用食品や機能性表示食品のように制度の名称になっている用語ではない。「健康食品」制度と呼べるような認証制度(安全性自主点検認定登録制度)が存在し、この認証制度の対象となっているのが「健康食品」である。対象となっている「健康食品」が一般的な意味での健康食品と異なっているので、本サイトでは健康食品に鉤括弧を付けて区別している。
「健康食品」制度といえる安全性自主点検認定登録制度は、公益財団法人日本健康・栄養食品協会(以下協会)が運用するが、協会が公表している資料には「健康食品」の定義が見つからない。一方、「「健康食品」の安全性確保に関する検討会報告書」(厚生労働省H20年)をみると、「「健康食品」については、健康食品から個別に有効性や安全性に関する国の審査が行われている特定保健用食品を除いたものを指すこととする。」と
説明している。「健康食品」制度はこの報告書に則っているので、これが「健康食品」の定義の第一候補である。なお、これならば厚生労働省がいういわゆる健康食品に該当することを指摘しておく。
上で定義の第一候補としたのは、この定義に当てはまらない記述が他の箇所に存在するためである。たとえば、協会のHPには、”「健康食品の安全性自主点検評価シート」は「錠剤、カプセル状等食品の原材料の安全性に関する自主点検ガイドライン」の考え方に基づいて作成されています。“と説明している箇所がある。この説明ならば、「健康食品」は錠剤・カプセル等食品ということになる。
また別の箇所には、安全性自主点検認定登録制度の対象を「健康食品・サプリメント製品」とする説明もある。この説明だと、「健康食品」は健康食品とサプリメント製品を含むことになる。この場合健康食品とサプリメント製品がどう違うのか
の説明がなされていないが、少なくとも別々と捉えている。そして特定保健用食品を含む健康食品全体を対象としているようにみえる。
この混乱は、健康食品業界の体質にも問題があり、行政が直接関与しないと制度が不確かになることを物語っている。次ページで説明するように、「健康食品」制度のスキームがやや複雑なことにも影響されているかもしれない。
本欄では、特定保健用食品と「健康食品」および機能性表示食品を並べて説明しているので、本ページでは、「健康食品」と特定保健用食品の関係について触れておく。上述のように、「健康食品」が一般的な意味の健康食品から特定保健用食品を除いたものだとすると、両者の区別は明確である。なお、「健康食品」が当初錠剤・カプセル状等食品であったことを反映して、錠剤・カプセル状形態であることが多いのに対し、特定保健用食品は、通常形態の食品が多いことも指摘できる。
(2015年6月作成) |