機能性表示食品制度においても、新規食品成分が関与成分として届けられることが予想される。付け加えると、関与成分以外の配合成分に新規食品成分が使用されていても、問題にならない。
機能性表示食品制度は、アメリカのDS制度(ダイエタリーサプリメント制度)を参考にしたとされている。DS制度も届け出制である。機能性表示食品制度はDS制度を参考にしたので両者は似ているが、新規食品成分に対する措置は全く異なる。機能性表示食品制度では新規食品成分であっても特別な措置はないけれども、DS制度ではこの制度とは別に、新規食品成分(New
Dietary Ingredients)はFDAの事前承認が必要である。
機能性表示食品制度では、新規食品成分であれば、「安全性評価シート」に従うと「安全性試験に関する評価」に進むはずである。しかし、「喫食実績の有無」で「あり」と回答することは可能である。その実績に当該新規食品成分を含む食品の近年の販売実績や途上国などでの消費実績も主張できるからである。
新規食品成分を事業者が自主的に十分な安全性評価を実施して安全性を確認する期待はある。受理された品目の中にはそう主張できそうな事例も存在する。問題は、そうでない事例も存在すると確信できることである。事業者による自主的な安全性確認で国によるリスク評価と同等の水準で運用できると信じる人はいない。実際、機能性表示食品として最初に受理された8品目の一つである「蹴脂粒」の有効成分が、別途申請されていた特定保健用食品としての食品安全委員会の食品健康影響評価(リスク評価)で「安全性が確認できない」との結論となったことが問題になっている。
そもそも安全性評価を事業者に委ねてしまうことに、構造的な欠陥がある。また、機能性を主張しなければ新規食品成分も使用できるので、黙って数年販売すれば、その販売実績で食経験を主張できる事実もある。特定保健用食品も当てはまるが、こちらは食品安全委員会に諮問する体制が不十分ながらも整えられている。
機能性表示食品は、特定保健用食品はもちろん「健康食品」と比べても、新規食品成分の事前審査の視点では、最も不十分な制度となっている。
(2015年6月作成) |