機能性表示食品

 制度の仕組み

 
トップページに戻る

 

機能性表示食品制度は、食品表示基準の第二条(定義)に第十項として挿入された制度である。因みに食品表示基準は、食品表示法で制定が定められている内閣府令である。

  本制度の特徴は、届け出制となっていることである。参考までに、特定保健用食品は消費者庁による許可制であり、「健康食品」は民間の認証団体による登録制である。

  消費者庁は届出資料の作成に関するガイドラインを公表している。このガイドラインに則って作成された届出様式は、20のファイルで構成されている。事業者がこの様式に従って記入して消費者庁長官に届けると、その記入様式が整っていれば受理される。受理された商品は、消費者庁のHPに掲載される。届け出た日の60日後から、当該商品を販売することができる。

  機能性だけでなく安全性も、事業者の責任で確認する。これを消費者庁は受理するだけなので、事件が発生した場合は事業者の責任だけといえるのか、消費者庁も責任を負うかは明確でない。

  消費者庁は、制度の基本的な考え方として、@安全性の確保、A機能性表示を行うに当たって必要な科学的根拠の設定、B適正な表示による消費者への情報提供を挙げている。そして、消費者の誤認を招かない、自主的かつ合理的な商品選択に資する表示制度としている。

  対象商品に生鮮食品を含むことは、制度の策定において目玉となった特徴である。とはいえ、サプリメントが中心であることは、加工食品をサプリメント形状とその他に分けていることから推察できる。

  機能性表示食品制度を策定するための検討会の報告書(食品の新たな機能性表示制度に関する検討会報告書)によれば、機能性表示食品制度はアメリカのDS制度(ダイエタリーサプリメント制度)を参考にしたという。DS制度も届け出制であり、販売後30日以内に製品をFDAに届ければよい。

  機能性表示食品制度は、特定保健用食品の問題点を改良することを目的にして登場した。特定保健用食品が問題とされたのは、機能性や安全性の科学的根拠が厳しすぎることにあった。健康食品の効果が怪しいのは昔からのことでユーザーも承知だとすると、尤もな面もある。ここに安全性も含めたので制度が変になった。健康食品の安全感は高いのであるが、実際には食中毒に次いで危害事件が起きている分野である。

  機能性表示食品制度が登場したもう一つの背景は、「健康食品」の安全性自主点検認証登録制度が消費者にアピールしないことへの不満を解消することにあったと疑っている。民間団体の登録制度は会員相互の監視があるので、社会で考えられているよりは厳しく運用されている。一方相手がお 役所になると、一面で非常に厳しいけれども、盲点を突いた者が勝ちの面がある。それでも受理されてしまえば、お役所の信頼を活用できる。

 

(2015年6月作成)