機能性表示食品は、消費者庁が発足させた機能性表示食品で規定した用語である。つまり、食品表示基準の定義条項において機能性表示食品を「疾病に罹患していない者に対し、機能性関与成分によって健康の維持及び増進に資する特定の保健の目的が期待できる旨を科学的根拠に基づいて容器包装に表示をする食品」と規定している。念のためであるが、読みやすくするために条文にある括弧内の注釈部分は割愛している。
機能性表示食品は、特定保健用食品と栄養機能食品で構成されていた保健機能食品に新しく加えられた。前項の「健康食品」が民間団体による認証であるのと異なる。
機能性表示食品では、食品の分類が異質である。食品の区分を加工食品と生鮮食品に大別したうえで、加工食品を加工食品(サプリメント形状)と加工食品(その他)に分類している。この加工食品の分類は、食品分野の常識とは異なっており、食品表示基準で規定されている加工食品とも異なっている。この不自然さは、機能性表示食品が実際にはサプリメント形状が中心であることの裏返しにみえる。因みに、食品分野の常識では、加工食品とはここでいう加工食品(その他)のことで、ここでいう加工食品(サプリメント形状)は加工食品に含めない。
本欄では、特定保健用食品と「健康食品」および機能性表示食品を並べて説明しているので、本ページではまず機能性表示食品と特定保健用食品の関係を述べる。機能性表示食品は国への届出制で特定保健用食品国による許可制なので、両者の制度の違いは明確である。一方、両者の中味の違いを説明するのは簡単ではない。明確な相違の一つに、機能性表示食品には生鮮食品が含まれることがあるけれども、これまでに認可・登録された商品には生鮮食品は見当たらない。それよりも、機能性表示食品が錠剤・カプセル状食品と清涼飲料に集中しているのに対し、特定保健用食品では通常食品の多いことが指摘できる。機能性表示食品
は制度化される前にはいわゆる健康食品とされていた一部を取り込んだようにみえる。
次に機能性表示食品と「健康食品」の関係については、「健康食品」の定義が曖昧なために説明は難しいが、「健康食品」は錠剤・カプセル状食品のイメージが強い。機能性食品は加工食品や生鮮食品を標榜しているけれども、上述のようにサプリメント(錠剤・カプセル状食品)が中心である。機能性表示食品と「健康食品」は重複しており、「健康食品」が衣替えしたというのが的を射ているのかもしれない。
(2015年6月作成) |