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安全感指数による比較2 
(6つの調査結果による)


安全感による比較1」に続いて、安全感を定量的に取り扱った例を紹介する。 

 「食の安全・安心」分野では、各種のアンケート調査がなされているが、残念ながら世論調査のような本格的な調査はこれまでになされていない。「安全感の比較1」のページで採用した食品安全委員会のモニター調査が最も信頼性が高いと思われるが、これ一つだけで国民の意識といえる結果が得られたとは言い難い。そこで次善の策として、ある程度信頼できそうなアンケート調査結果を探したところ、この他に5つの調査を見つけることができた。

合計6つの調査結果全てで対象項目となっているのは5要因だったので、5要因について安全感指数を計算し、に示した。図では、安全感指数の平均値の順に並べている。低い順に農薬、BSE、食品添加物、遺伝子組換え食品、いわゆる健康食品となっている。図をよくご覧いただくと気付くことであるが、各調査間において安全感指数の違いが大きいのに対し、各要因間における安全感指数の順位は案外一致している。具体的には、BSEを除いた4要因の順位は6つの調査全てで同じである。BSEは農薬および食品添加物とそれぞれ1調査ずつ順位が変わる。念のためこれをWilcoxonの符号順位検定と平均値の差の検定を行ったが、どちらの検定法でもBSEと食品添加物以外の組み合わせでは有意水準を5%として差がある。 

上述のように、一つ一つの調査は必ずしも信頼性が高いとはいえないけれども、6つの調査で全て同じ順位となった要因は、世論調査のような本格的な調査を実施したとしても、同じ結果となる可能性が高い。つまり、しばしば不安の対象として話題になる農薬、食品添加物、遺伝子組換え食品について、国民の安全感はこの順位で低いと確信できる。念のため付け加えると、実際には事件が多発している、いわゆる健康食品 の安全感指数は遺伝子組換え食品よりも高い。

(2011年4月作成)(2012年8月更新)