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製造プラントも工場の容器も器具


 食品衛生法令には独特の用語が少なくないが、食品衛生法第15〜18条に制定されている「器具及び容器包装」には今でも変だと思っている。用語の定義は第4条にあり、器具は「飲食器、割ぽう具その他食品又は添加物の採取、製造、加工、調理、貯蔵、運搬、陳列、授受又は摂取の用に供され、かつ、食品又は添加物に直接接触する機械、器具その他の物をいう。ただし、農業及び水産業における食品の採取の用に供される機械、器具その他の物は、これを含まない。」となっており、容器包装は「食品又は添加物を入れ、又は包んでいる物で、食品又は添加物を授受する場合そのままで引き渡すものをいう。」となっている。既に多くの人に指摘されているようであるが、この用語は現実離れしている。

 変だと思う程度が大きいのは、器具である。器具には、上の定義のように製造・加工に使用される機械を含んでいる。一方、現在では食品加工には近代化された設備が使用されている。しばしば、オートメーション化された大型の製造装置も普及している。この製造装置を前にして器具と呼ぶと 、言う方も聞く方も違和感があるに違いない。器具は、まな板・包丁の時代の用語と推定できる。

 ハザード分析表では、法令の用語を変更すると後で不都合が起きることが少なくないので、なるべくそのまま使用することとしている。しかしながら、さすがに器具では分かり難いので製造装置または食品機械と呼ぶことにし た。

  容器包装は別の混乱がある。上述のように、容器包装は食品の授受に使用されるものと定義している。しかしながら、他の過程でも容器や包装は使用される。特に工場内で容器というと、製造に使用する容器と考えるのが常識的である。ハザード分析 表作成の視点でみると、容器包装から移行する物質は食品加工過程で発生するハザードになることから、当面不都合は起きていない 。けれども、不適切な用語のために何かと不便である。

(2013年12月作成)